※2021年4月1日 現在

村上正志 Masashi Murakami PI、教授
高橋佑磨 Yuma Takahashi 助教
José Said Gutiérrez-Ortega ホセ PD
佐藤大気 Daiki X. Sato PD(学振)
倉西良一 Ryoichi Kuranishi 研究員
佐藤恵里 Eri Sato D3(学振)
飯島大智 Daichi Iijima D3(学振)
茶木慧太 Keita Chagi D2
上野尚久 Takahisa Ueno D1(先進)
横溝 匠 Takumi Yokomizo D1(先進、学振
姜雅珺 Jiang Yajun D1
大類詩織 Shiori Ohrui M2
佐藤あやめ Ayame Sato M2
小林遥香 Haruka Kobayashi M1
斉藤京太 Keita Saito M1
柴田匡人 Masato Shibata M1
太田 甫 Hajime Ota M1
佐藤緑海 Ryo Sato B4
長澤和佳 Waka Nagasawa B4
濱田若夏子 Wakako Hamada B4
浜道凱也 Kaiya Hamamichi B4
高橋芳歩 Kaho Takahashi B4
竹中夏海 Natsumi Takenaka B4

注)学振:日本学術振興会特別研究員、先進:千葉大学大学院融合理工学府先進科学プログラム生


 

 

村上正志|Masashi Murakami|教授

地球上には多種多様な生物が生活しています。多様性がどのようにして生じ、維持されているのかを知りたいというのが、私の研究目的です。それぞれの生物の分子基盤から多様化の過程を構築するというボトムアップアプローチと、集団にみられる特徴的な構造をもとに、その成立過程を再現するというトップダウンアプローチを組み合わせることで、この疑問に迫るべく研究を進めています。

 

 


 

高橋佑磨|Yuma Takahashi|助教

生物の進化過程を理解し、その生態学的・系統進化学的副産物を理解する

生物は、どんな種でも種内に豊かな多様性をもっています。このような多様性がどのように生まれ、どのように維持されいるのか、さらには、そのような多様性が集団や生態系、大進化などに対してどのような影響を与えるのかというが私の興味です。具体的には、集団内に存在する遺伝的な多型や遺伝的な個性が集団の人口学的動態や集団行動に与える影響を解析しています。さらに、環境に誘導されて現れる多様性(表現型可塑性)や発生の揺らぎによって生じる多様性にも関心をもって研究を進めています。また、都市化や環境の季節変化、標高勾配などの時空間的に激しい環境変化を伴う生息地に着目し、急速な進化的変化の遺伝基盤や、表現型可塑性に関するエピ遺伝学的基盤についても研究もしています。

昆虫や植物、微生物などを材料に、ゲノム解析や行動解析、フィールドワーク、人工知能(機械学習)などの多様な方法を駆使して、ミクロとマクロを縦断するような研究(統合生物学的研究)を推進しています。

 

 


 

José Said Gutiérrez-Ortega|PD

The adaptive divergence of cycads clarifies the genomic origins of ecological speciation
ソテツ類の適応的な多様化における生態的種分化のゲノミクス

My interest is to understand the phenomena that drive the evolution of biodiversity. I study cycads, a so often called “living fossil” lineage of seed plants, as a group that may clarify the mechanisms of ecological stasis, adaptation, and the pathways of speciation. Using phylogenetics, phylogeography and population genetics, I aim to reveal the demographic history of cycad species, particularly in the Neotropics. Also, I aim to clarify the genetic diversity of threatened species and the genomic mechanisms involved in the maintenance of cycad species, which is crucial information to contribute for their conservation.

 

 


佐藤大気|PD

集団行動における個性の役割とその遺伝基盤の解明

多くの動物は、個体間における行動多様性、いわゆる「個性」をもっています。個性は進化の原動力ですが、なぜ多様性が維持されるのか、その役割についてはあまり分かっていません。博士課程では、主にヒトの個性に関わる遺伝的変異に着目し、その進化過程や機能的意義をバイオインフォマティクスや分子・神経・行動学的実験から明らかにしてきました。今後はショウジョウバエを題材に、行動実験とゲノム解析を組み合わせ、集団行動における個性の役割およびその遺伝基盤について探っていきたいと考えています。

 

 


 

倉西良一|Ryoichi Kuranishi|研究員

ムラサキトビケラ属昆虫の分類・進化・分子系統地理

ムラサキトビケラ属はヒマラヤ山脈から東アジアに分布する捕食性の昆虫で、トビケラ目昆虫では例外ともいえる巨大な体サイズを持つ。これまで世界から21種が知られているが分類形質の評価に問題があり、形態(交尾器の内袋を含む内部構造)の詳細な解析と遺伝子を含めた分類学的再検討を行っている。日本列島にいたる本属の分布の成立過程や西日本の山地渓流で極端に巨大化する体サイズの謎に迫りたいと考えている。

 


 

佐藤恵里|Eri Sato|D3

島およびアジアにおける鳥類の共起パターンと形質・環境との関係

共起する種の系統的類似度を定量することで、種の共起パターンやその歴史的プロセスを調べることが出来ると考えられています。私は、島とアジアに生息する鳥類に焦点を当てて、種の持つ共起パターンと、生態的形質や環境との関係を調べています。


 

飯島大智|Daichi Iijima|D3

気候変動に対する応答の生態系間ミスマッチが高山性鳥類群集に与える影響を解明する

生態系間でおこる資源の移動は、受け手の生態系に成立する群集の構造を変化させることが実証されています。一方、気候変動に伴う生態系の変化と資源移動を関連付けた研究はほとんどありません。私は、高山帯の残雪上に落ちている系外から輸送されたと考えられる昆虫を、鳥類が繁殖期に利用することに注目し、気候変動に伴う系外から高山帯への資源移動の変化が、高山帯に成立する鳥類群集に与える影響を解明することを目的に研究を行っています。


 

茶木慧太|Keita Chagi|D2

ラン科植物の多様化と適応放散

ラン科植物は世界中に2万から3万種程度が生育するとされ、陸上植物の中で最も種数の多い科といわれることもあります。ラン科が多様化した原因として、今までに様々な要素が挙げられてきました。私はその中でも特に種間交雑に注目し、交雑が多様化に与える影響力を評価しようと考えています。


 

 

上野尚久|Takahisa Ueno|D1

オミクス解析による種内と種間の生態的多様性効果の統合

生物の多様性はシステム全体の生態的機能を高める役割があります。この現象は「多様性効果」と呼ばれています。群集レベルでは、生態系を構成する種の多様性や生態的特性のばらつきが生態系機能を向上させることがわかっています(種間多様性効果)。一方、個体群レベルでは、集団を構成する個体の遺伝的多様性が集団の機能を向上させることがわかりつつあります(種内多様性効果)。種間と種内の多様性効果を比較した研究によると、種間のみならず種内の多様性効果も重要であることが示唆されています。しかし、どちらの多様性効果が、どのような場合にどれほど卓越しているのか、といった検証は十分ではありません。そこで、私の研究では、ショウジョウバエ属の複数の近縁種を用いて、同一の指標・実験手法で種間と種内の多様性効果を測定することで、これらの相対的重要性を直接的に比較し、特に種内多様性効果の生態的な重要性を明らかにしようとしています。

 

 

 


 

横溝 匠|Takumi Yokomizo|D1

概潮汐リズムの獲得による汽水適応の実証と内在リズムの進化プロセスの解明

生物は進化の歴史のなかで自律的に時間をはかる機能(体内時計)を獲得しました。行動や生理機能を環境と同調させることは生物が高いパフォーマンスを発揮するために重要であり、生息環境に適した内在リズムをもつ必要があります。私は河川の汽水域では潮汐に同調したリズムをもつことが適応的になると考え、チリメンカワニナを用いて概潮汐リズムの獲得による汽水域進出を実証しようとしています。最終的には、体内時計の進化による局所適応と分布拡大への帰結を明らかにすることを目指しています。


姜雅珺|Jiang Yajun|D1

生息環境による翼の機能形態の違い

鳥の翼の形態は、分散能力と関係することが知られている。さらに、分散能力の違いが種分化の程度に影響することも明らかになっている。一方で、生息環境や生態の違いが、翼の形態に与える影響は非常に小さいと指摘されている。そこで、本研究では、翼の機能を風洞実験などを用いて詳細に評価するとともに、機能的に重要な形質の測定を行う。具体的には、既存の翼標本をもちいて、機能的に重要な形態の評価や、揚力や安定性などの機能の計測を行い、生息環境と機能形質の対応を解析する。


 

大類詩織|Shiori Ohrui|M2

チリメンカワニナにおける流速適応に対する移住荷重の検証

生物は適応進化をしますが、生息する環境に対して必ず最適になるとは限りません。その要因の一つとして、ある環境に適した遺伝子をもつ集団に、非適応的な対立遺伝子をもつ個体が移入することでその集団の適応度が下がる移住荷重があげられます。移住荷重は環境が極端に変わるほどかかりやすいとされています。私は、川の流水域と止水域に生息するチリメンカワニナを使って、流速適応に関わるとされる遡上能力の測定や形態解析などを行ない、それらの形質に対する移住荷重を検証します。


 

佐藤あやめ|Ayame Sato|M2

都市の環境変化に対する生物の応答を検証する

現在、世界中で進行している都市化は、環境の急速な変化を通じて様々な生命現象に変化をもたらしています。都市における形質レベルでの変化と個体群動態や群集構造の変化とはたがいに影響を及ぼしあっており、これらを結びつけるメカニズムの解明が待たれています。このようなメカニズムに迫るため、私はモデル生物のキイロショウジョウバエに近縁な野外のショウジョウバエ属昆虫をもちいた室内実験によって、都市に生息する生物の応答を検証しています。


 

小林遥香|Haruka Kobayashi|M1

鳥類の翼形態の進化と翼形の持つ機能

鳥類の翼には、飛翔はもちろんのこと、採餌のためのホバリングや転回、ディスプレイ行動における提示など様々な機能があります。種間、分類群間での形状の違いは、その種や分類群の生態や生活史と関連しているとされています。これまでの研究では、飛翔スタイルと翼の形状の関連は弱いとされていますが、翼の三次元的な形態が考慮されていないなど、翼形態の研究には未だ数多くの課題が存在します。私の研究では、鳥類の翼標本を用いて、ランドマーク解析や運動測定による翼形態の詳細な評価を行うとともに、系統関係とこれらを比較し、鳥類の翼の形状と機能の関係性、またこれらの系統との関連について明らかにすることで、鳥類の翼形の進化について探求しようとしています。

 


 

斉藤京太|Keita Saito|M1

さまざまな階層でみられる形質間の分散共分散行列の比較と進化の方向性の予測

種内には、ふつう、遺伝的な多様性が存在するので、選択圧さえ働けば進化が際限なく起こると考えられていますが、実際はそうではなく、進化には何らかの制約が存在していることがわかっています。この制約のメカニズムを研究することで、小進化や大進化、さらにはそれらの繋がりが明らかになると考えられています。また、進化の「予測」もできるようになる可能性があります。そこで私の研究では、ショウジョウバエ属昆虫を使用し、形質間の分散共分散行列を個体内(可塑性や発生ゆらぎ)や個体間、集団間、種間などのさまざまなスケールで算出し、各行列の関係を明確にすることで、進化の予測に関する進化の制約メカニズムを探すことを目指しています。

 

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柴田匡人|Masato Shibata|M1

昆虫普通種における進化機会と種分化可能性

生物種には、生息地毎に細かく種分化し多様化している種と、広域に分布している種が存在します。このような違いは多くの分類群で見られますが、その詳しいメカニズムは解明されていません。そこで私は日本列島に広く生息する普通種昆虫を対象として、個体群の遺伝構造が、それぞれの種のどのような生態、生活史と関係しているかを検討します。さらに、個体群の遺伝構造が分集団間での遺伝的分化の程度と関係するかも検証します。

個人ページ


 

太田 甫|Hajime Ota|M1

出芽酵母の複数系統の共培養による多様性効果の解析 (仮)

TBA


 

佐藤緑海|Ryo Sato|B4

交尾器の形態的・遺伝的な多様化に貢献するメカニズムの検証

外部交尾器をもつ生物種では、多くの場合、交尾器の外部形態が種ごとに特異化しており、近縁な種間においても交尾器形態に大きな差異が見られます。こうした交尾器形態の種特異性が種間での物理的な生殖隔離にはたらくと考えられてきましたが、実際には多くの種で、交尾器形態に大きな種内変異が観察されています。この一見矛盾した実態に対して、私は、オスの交尾器形態に種間、そして種内で大きな変異が見られるナガレトビケラ属昆虫を用いて、交尾器の形態的・遺伝的な多様化に貢献するメカニズムを解明していきます。


 

長澤和佳|Waka Nagasawa|B4

森林集水域におけるセシウムボールの分布と土壌への移行

2011年に福島第一原子力発電所で放射性物質の放出を伴う事故が発生し、1 – 3号機でメルトダウンが起こったと考えられています。最近、東北各所で、極めて高い放射能を示すケイ酸塩ガラスに取り込まれた粒子状のセシウムボールの存在が報告されています。セシウムボールは高熱によって溶けた建屋のコンクリートに放射性セシウムが混合し、ガラス状の粒子になったものと考えられています。セシウムボールはガラス質で容易には溶解は進みませんが、時間の経過とともに、さらに、海水などアルカリにさらされることで風化がすすみ内部の放射性セシウムが溶出することが知られています。このようなセシウムボールが森林内でどのように分布し、さらに、土壌へどの程度移行しているかは明らかになっていません。そこで、本研究では、① 森林と河川におけるセシウムボールの分布、② セシウムボールから溶出する放射性セシウムとイオン状態の放射性セシウムで土壌への移行速度に差が見られるかを明らかにすることを目的としています。


 

濱田若夏子|Wakako Hamada|B4

発生ゆらぎによる種内鏡像多型の生態的機能と進化機構

動植物に見られる鏡像多型にはランダムな発生のゆらぎに起因するものがあります。しかし、その生態的機能と進化機構は詳しく理解されていません。そこで本研究では、ネジバナを用いてランダムに生じる種内の鏡像多型の生態的機能と進化機構を明らかにすることを目的とします。


 

浜道凱也|Kaiya Hamamichi|B4

キハダショウジョウバエにおける餌探索行動の個体差とその生態的機能

動物の行動には生涯を通して変化しない個体差(個性)が存在します。このような行動の個体差はノイズとして扱われました。一方で、現在では行動の個体差には副産物的な生態的機能があると考えられるようになってきたました。また、行動の環境条件依存性(閾値)に個体差が存在する場合、行動表現型レベルでの個体差、すなわち、個体差の生態的機能が環境条件によって変わる可能性があります。私は、キハダショウジョウバエを用い、生態的、進化的に重要な形質である餌探索行動(餌選好性や探索効率)やその条件依存性に関する個体差を定量するとともに、その生態的機能や種分化の影響を明らかにすることを目指しています。


 

高橋芳歩|Kaho Takahashi|B4

ハヤブサとオオタカの捕食時の視点の違い

ハヤブサはより開けた空中を生息場所として上空から急降下して獲物をとるのに対し、オオタカは森林に生息し木の上から急降下して林の中の狭い空間を通り抜けながら獲物をとります。ハヤブサは最近までタカ目とされていましたが、詳細なDNA分析の結果、タカよりインコに近いことがわかり、2012年にハヤブサ目に変更されました。このようにハヤブサとオオタカは、いわゆる「猛禽類」ですが系統的にはとても遠い関係にあります。一方で、ハヤブサ、タカ(ワシ)には多くの共通点も見られます。例えば、両方のグループで特異な視覚システムを共通して持っています。彼らの眼には2つの焦点があり、それを使い分けています。そこで本研究は、ハヤブサとオオタカの捕食時に行動、特に、獲物をどのように視野に捉えているかに着目し、両グループでの共通点と相違点を明らかにすることを目的としています。

 


 

竹中夏海|Natsumi Takenaka|B4

ショウジョウバエ類における継承性のエピ遺伝的効果とその生態的影響

生物が新規環境へ進出するには、高い表現型可塑性が貢献すると考えられています。DNAの塩基配列を変化せず遺伝子機能を制御するエピジェネティクスは、多様な表現型を生み出し、表現型可塑性に影響を与える可能性があります。さらに近年の研究によって、親世代で経験した環境がエピジェネティックな情報として、子世代に伝達されることが明らかになってきました。しかし、エピジェネティックな情報がどの程度集団内で維持され、継承されるのかは明らかになっていません。そこで私は、都市化による環境ストレスがショウジョウバエ類に与えるエピ遺伝的な変化とその継承性を表現型と分子基盤の双方から検証し、それらの生態的な影響を探っていきたいと考えています。


 

 

卒業生・過去のメンバー

2020

  • M 桂 優菜
  • M 吉田琴音
  • M 菰田浩明
  • B 竹之下彰子
  • B 水流尚樹

2019

  • D 阿部智和
  • M 友田七菜(Non-additive Effects of the Presence of Behavioral Polymorphism on Inter-individual Interactions and Population Dynamics)
  • B 上原由莉子
  • B キム ソノ(逆強化学習を用いたゴミムシダマシの二次元移動パターの解析)
  • B 村山翔一
  • B 田中知珠
  •  

2018

  • PD 玉川克典
  • M 川崎慎悟
  • M 黒田志織
  • M 秦 和也
  • 研究生 清水正明
  • B 相澤菜菜子
  • B 松尾優花
  •  

 

2017

  • B 柳田ゆきの
  • M 沖 三奈絵
  • M 向後良亮
  • M 佐藤 愛
  • D サイハンナ
  • D 岡村 悠
  •  

 

2016

  • B 勝連 桜
  • M 宮田能寛
  • M 福島宏晟

 

2015

  • M 阿部 永
  • M 田中優穂
  • M 都築なつみ
  • B 村上太一

 

2014

  • M 鈴木 隆央
  • B 岩井由実

 

2013

  •  
  • D 渡邉謙二
  • M 伊藤亮太
  • M 中臺亮介
  • M 齊藤智士

 

2012

  • M 二宮智美
  • M 五十嵐よしあき
  •  

 

2011

  • M 内川潤季

 

2009

  • B 明星亜理沙